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住宅ローン控除と構造の関係|長期優良住宅・省エネ基準と減税額の違いを徹底比較

「住宅ローン控除を最大限に活用したい」「長期優良住宅にすると、実際にいくら得なの?」家を建てる際、税制優遇は見逃せない重要なポイントです。最大で数百万円もの減税効果があるため、賢く活用すれば建築予算を大きく節約できます。

実は、住宅ローン控除の金額は、建物の構造や性能によって大きく変わります。同じ価格の家でも、長期優良住宅の認定を受けているか、省エネ基準を満たしているかで、控除額に数十万円から百万円以上の差が出ることもあるのです。

特に木造・鉄骨造・RC造といった構造の違いは、長期優良住宅の認定要件や耐用年数に影響するため、間接的に税制優遇にも関係してきます。構造選びの段階から税制を意識することで、トータルコストを最適化できるのです。

この記事では、住宅ローン控除の基本から、長期優良住宅・省エネ住宅による控除額の違い、構造別の取得しやすさ、実際の減税シミュレーションまで、実務的な視点から徹底解説します。これから家を建てる方、リフォームを検討している方、ぜひ最後まで読んで賢い選択をしてください。

住宅ローン控除の基本|2024年以降の制度

まず、住宅ローン控除(住宅ローン減税)の基本的な仕組みを理解しましょう。

住宅ローン控除とは

住宅ローン控除は、住宅ローンを利用して家を購入・新築した場合に、年末のローン残高の一定割合を所得税や住民税から控除できる制度です。正式名称は「住宅借入金等特別控除」と言います。

控除率は年末ローン残高の0.7%で、最長13年間にわたって控除を受けられます。例えば、年末のローン残高が3000万円なら、その年は21万円(3000万円×0.7%)が所得税から還付されます。所得税で控除しきれない場合は、住民税からも控除されます。

2024年以降の制度変更

住宅ローン控除は税制改正により、2022年から大きく変わりました。2024年以降に入居する場合も、基本的にはこの新制度が適用されます。

最も大きな変更点は、借入限度額が住宅の性能によって細かく区分されたことです。一般住宅(省エネ基準を満たさない住宅)の場合、新築なら借入限度額がゼロ、つまり住宅ローン控除が受けられなくなりました。省エネ基準以上を満たすことが、実質的に必須条件になったのです。

住宅の性能による借入限度額の違い

新築住宅の場合、性能区分による借入限度額は以下のようになっています。

長期優良住宅・低炭素住宅:借入限度額5000万円、控除期間13年間、最大控除額455万円

ZEH水準省エネ住宅:借入限度額4500万円、控除期間13年間、最大控除額409.5万円

省エネ基準適合住宅:借入限度額4000万円、控除期間13年間、最大控除額364万円

その他の住宅(省エネ基準未満):借入限度額0円(2024年以降入居の新築は対象外)

つまり、長期優良住宅と省エネ基準適合住宅では、最大で91万円もの差が出るわけです。この差は非常に大きく、長期優良住宅の取得費用が100万円程度の追加で済むなら、十分に元が取れる計算になります。

長期優良住宅とは?構造との関係

最大の控除が受けられる「長期優良住宅」について、詳しく見ていきましょう。

長期優良住宅の認定基準

長期優良住宅は、長期にわたって良好な状態で使用できる優良な住宅として、国が定めた基準を満たし、自治体から認定を受けた住宅のことです。

主な基準には、劣化対策(数世代にわたり住宅の構造躯体が使用できること)、耐震性(大規模地震でも倒壊しない耐震性)、維持管理・更新の容易性(配管の点検・交換が容易)、省エネルギー性(断熱性能が一定以上)、居住環境(良好な景観の形成)、住戸面積(75平方メートル以上)、維持保全計画(定期点検の計画策定)があります。

構造別の長期優良住宅取得のしやすさ

長期優良住宅の認定は、構造によって取得のしやすさが異なります。

木造住宅の場合、大手ハウスメーカーの商品であれば、標準仕様で長期優良住宅の基準を満たしていることが多いです。地域の工務店でも、追加費用50万円〜150万円程度で対応可能なケースが多く、比較的取得しやすいと言えます。

劣化対策では、床下や小屋裏の点検口設置、防腐・防蟻処理などが求められます。耐震性は耐震等級2以上(できれば3)、省エネ性は断熱等性能等級5以上が必要です。これらは最近の木造住宅では標準的に満たせる水準になってきています。

鉄骨造の場合、大手ハウスメーカーの鉄骨造商品は、ほぼ標準で長期優良住宅対応です。追加費用もほとんどかからないか、かかっても30万円〜100万円程度です。

鉄骨造は構造的に劣化対策や耐震性の基準を満たしやすく、メーカー側も積極的に長期優良住宅仕様を推奨しています。維持管理のしやすさも評価されやすい構造です。

RC造の場合、構造的には最も長期優良住宅の基準を満たしやすい構造です。耐久性、耐震性ともに優れており、100年住宅も可能な構造です。

ただし、RC造を選ぶ層は建築費用が潤沢なことが多く、長期優良住宅の認定取得費用(設計費用込みで50万円〜100万円程度)が相対的に小さいため、ほとんどのケースで認定を取得します。

長期優良住宅のその他のメリット

住宅ローン控除以外にも、長期優良住宅には様々な税制優遇があります。

登録免許税が一般住宅の0.15%に対して0.1%に軽減されます。3000万円の建物なら、4.5万円が3万円になり、1.5万円の節約です。

不動産取得税では、課税標準からの控除額が一般住宅の1200万円から1300万円に増額されます。実質的な節税額は数万円程度です。

固定資産税の減額措置も、一般住宅は3年間のところ、長期優良住宅は5年間(マンションは7年間)に延長されます。年間10万円程度の固定資産税なら、2年分で20万円の節税です。

これらを合計すると、住宅ローン控除の差額と合わせて、トータルで100万円以上のメリットがあることも珍しくありません。

省エネ基準適合住宅・ZEH住宅の違い

長期優良住宅以外の性能区分についても理解しておきましょう。

省エネ基準適合住宅とは

省エネ基準適合住宅は、建築物省エネ法に定められた省エネ基準を満たす住宅です。具体的には、断熱等性能等級4以上、一次エネルギー消費量等級4以上を満たす必要があります。

2025年4月以降は、新築住宅にこの省エネ基準適合が義務化されるため、これ以降に建てる家は自動的に省エネ基準適合住宅になります。それまでに着工する場合でも、住宅ローン控除を受けるには省エネ基準適合が実質必須です。

木造住宅の場合、断熱材のグレードアップや窓の性能向上で対応できます。追加費用は30万円〜80万円程度が目安です。鉄骨造やRC造も同様に、断熱仕様の強化で対応可能です。

ZEH水準省エネ住宅とは

ZEH(ゼッチ:ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)水準省エネ住宅は、ZEHと同等の断熱性能を持つ住宅のことです。具体的には、断熱等性能等級5以上、一次エネルギー消費量等級6以上を満たす必要があります。

ZEH住宅との違いは、太陽光発電などの創エネ設備が必須ではない点です。ZEH水準の断熱性能さえあれば認められるため、ZEHよりも取得しやすくなっています。

木造住宅の場合、高性能断熱材、高性能窓(樹脂サッシ+Low-Eガラスなど)、高効率給湯器などで対応します。追加費用は100万円〜200万円程度が目安です。

性能証明書の取得

住宅ローン控除を受けるには、住宅の性能を証明する書類が必要です。

長期優良住宅なら「長期優良住宅認定通知書」、省エネ基準適合住宅なら「建設住宅性能評価書」または「住宅省エネルギー性能証明書」が必要になります。

これらの書類は、登録住宅性能評価機関や建築士事務所に依頼して取得します。費用は5万円〜15万円程度かかりますが、住宅ローン控除のメリットを考えれば必要な投資です。

実際の減税シミュレーション|性能別比較

具体的な数字で、性能による減税額の違いを見てみましょう。

前提条件

ここでは、以下の条件でシミュレーションします。

住宅価格4500万円(土地2000万円、建物2500万円)、借入額4500万円、借入期間35年、金利0.8%(変動金利)、年収600万円、所得税・住民税の合計が年間50万円程度のケースを想定します。

長期優良住宅の場合

借入限度額5000万円ですが、実際の借入額が4500万円なので、4500万円が控除対象になります。

1年目の年末ローン残高は約4470万円、控除額は31.3万円(4470万円×0.7%)。所得税が30万円、住民税から1.3万円が控除されると仮定します。

13年間の合計控除額は、ローン残高の減少を考慮すると約350万円〜400万円程度になります。

ZEH水準省エネ住宅の場合

借入限度額4500万円なので、全額が控除対象です。

1年目の控除額は長期優良住宅と同じく約31.3万円。13年間の合計控除額も約350万円〜400万円程度で、この借入額では長期優良住宅とほぼ同じになります。

省エネ基準適合住宅の場合

借入限度額4000万円なので、借入額4500万円のうち4000万円が控除対象になります。

1年目の年末ローン残高のうち4000万円が対象、控除額は28万円(4000万円×0.7%)。長期優良住宅より年間3.3万円少なくなります。

13年間の合計控除額は約310万円〜350万円程度。長期優良住宅と比べて、40万円〜50万円程度少なくなります。

借入額による違い

借入額が3000万円の場合は、どの性能区分でも全額が控除対象になるため、差は出ません。

逆に、借入額が5000万円以上の場合、長期優良住宅なら5000万円まで控除対象ですが、省エネ基準適合住宅は4000万円までなので、差は最大で91万円(1000万円×0.7%×13年)にもなります。

つまり、高額な住宅を建てるほど、長期優良住宅のメリットが大きくなるわけです。

構造別の費用対効果分析

各構造で長期優良住宅を取得する場合の費用対効果を分析します。

木造住宅で長期優良住宅を取得する場合

木造住宅で長期優良住宅の認定を取得する場合の追加費用は、一般的に50万円〜150万円程度です。

内訳は、構造の補強(耐震等級3対応)で30万円〜80万円、劣化対策(防腐・防蟻処理、点検口設置など)で10万円〜30万円、省エネ性能向上(断熱材グレードアップ、高性能窓など)で30万円〜60万円、申請費用・設計費用で20万円〜40万円程度です。

仮に追加費用が100万円かかったとして、住宅ローン控除の差額が40万円〜50万円、その他の税制優遇が20万円〜30万円、合計で60万円〜80万円程度のメリットがあります。

純粋な費用対効果では20万円〜40万円のマイナスですが、住宅の性能向上(耐震性、省エネ性、耐久性)を考えれば、十分に価値のある投資と言えます。さらに、将来の売却時の資産価値向上も期待できます。

鉄骨造住宅で長期優良住宅を取得する場合

大手ハウスメーカーの鉄骨造商品は、標準仕様で長期優良住宅対応していることが多いため、追加費用は30万円〜100万円程度で済むことが多いです。

税制優遇のメリットが60万円〜80万円程度あるため、追加費用が80万円以下なら費用対効果はプラスになります。性能向上のメリットも考えれば、非常にコストパフォーマンスが高い選択です。

RC造住宅で長期優良住宅を取得する場合

RC造は構造的に長期優良住宅の基準を満たしやすく、追加費用は50万円〜100万円程度です。

建物価格が高額になることが多いため、住宅ローン控除の差額も大きくなります。借入額5000万円以上なら、長期優良住宅と省エネ基準適合住宅の差は最大91万円にもなるため、費用対効果は非常に高くなります。

中古住宅購入時の住宅ローン控除

中古住宅の場合、新築とは条件が異なります。

中古住宅の借入限度額

中古住宅の場合、性能区分による借入限度額は新築より低く設定されています。

長期優良住宅・低炭素住宅・ZEH水準省エネ住宅・省エネ基準適合住宅はいずれも借入限度額3000万円、控除期間10年間、最大控除額210万円です。

その他の住宅(省エネ基準未満)は借入限度額2000万円、控除期間10年間、最大控除額140万円です。

新築と比べて控除額は少なくなりますが、それでも最大210万円の控除は大きなメリットです。

築年数による制限の撤廃

以前は、木造住宅は築20年以内、RC造は築25年以内という築年数制限がありましたが、2022年の改正でこの制限は撤廃されました。

現在は、1982年以降に建築された住宅(新耐震基準)であれば、築年数に関係なく住宅ローン控除が受けられます。ただし、省エネ基準を満たしていることが前提です。

中古住宅で長期優良住宅を取得するには

中古住宅を購入する際、その住宅がすでに長期優良住宅の認定を受けていれば、借入限度額3000万円の控除が受けられます。

認定を受けていない中古住宅でも、リフォームで長期優良住宅の基準を満たし、認定を取得することも可能です。ただし、リフォーム費用が高額になることが多いため、費用対効果を慎重に検討する必要があります。

その他の税制優遇との組み合わせ

住宅ローン控除以外にも、活用できる税制優遇があります。

贈与税の非課税措置

親や祖父母から住宅取得資金の贈与を受ける場合、一定額まで贈与税が非課税になる制度があります。

2024年の場合、省エネ基準適合住宅なら1000万円まで、一般住宅なら500万円まで非課税です。長期優良住宅・低炭素住宅も省エネ基準適合住宅と同じ1000万円の枠が使えます。

この制度と住宅ローン控除は併用できるため、両方活用することで大きな節税効果が得られます。

すまい給付金(終了)

2021年までは「すまい給付金」という制度がありましたが、現在は終了しています。代わりに、2022年からは住宅ローン控除の拡充という形で支援が行われています。

子育てエコホーム支援事業

2024年度は、子育て世帯や若者夫婦世帯を対象に、省エネ性能の高い新築住宅の購入に対して補助金が出る「子育てエコホーム支援事業」があります。

長期優良住宅・ZEH住宅なら最大100万円、省エネ基準適合住宅なら最大80万円の補助が受けられます。住宅ローン控除とも併用可能です。

対象世帯に該当する場合は、必ず活用しましょう。

住宅ローン控除を最大化するための戦略

住宅ローン控除のメリットを最大限に活かすための実践的な戦略を紹介します。

借入額と性能のバランスを考える

借入額が3000万円以下なら、省エネ基準適合住宅でも控除額に差は出ません。無理に長期優良住宅を目指すより、その予算を他の部分に回した方が良い場合もあります。

借入額が4000万円を超える場合は、長期優良住宅またはZEH水準省エネ住宅を目指す価値があります。特に4500万円以上借りる場合、長期優良住宅のメリットが最大化されます。

入居時期を調整する

住宅ローン控除は、入居した年の年末のローン残高から計算されます。年末に近い時期に入居すると、1年目の控除額が満額受けられます。

逆に、1月に入居すると、その年の年末まで11ヶ月しかローンの返済がなく、残高があまり減っていないため、1年目の控除額が大きくなります。ただし、これは数万円程度の差なので、無理に入居時期を調整する必要はありません。

夫婦で借りる場合の注意点

夫婦でペアローンや連帯債務で借りる場合、それぞれが住宅ローン控除を受けられます。

例えば、夫が3000万円、妻が2000万円借りた場合、合計5000万円が控除対象になります。長期優良住宅なら、借入限度額5000万円の枠を最大限活用できます。

ただし、どちらかの所得税・住民税が少ない場合、控除しきれないこともあるので、バランスを考えて借入額を決めましょう。

繰上返済のタイミング

繰上返済をすると、ローン残高が減るため、住宅ローン控除の金額も減ります。

現在の住宅ローン金利は0.5〜1%程度と低いため、控除率0.7%の方が高いことが多いです。つまり、借りていた方が得という逆転現象が起きています。

そのため、住宅ローン控除を受けている期間中は、急いで繰上返済せず、控除期間が終わってから繰上返済する方が有利なケースが多いです。ただし、金利が上昇した場合はこの限りではありません。

よくある質問と注意点

住宅ローン控除に関してよく寄せられる質問をまとめました。

Q1:所得税が少ない場合、控除を使い切れない?

所得税で控除しきれない分は、住民税からも控除されます。ただし、住民税からの控除には上限があり、最大9.75万円(課税所得の5%、最大9.75万円)までです。

年収が400万円程度以下の場合、所得税と住民税を合わせても、満額の控除を受けられないことがあります。この場合、長期優良住宅を目指すメリットは小さくなります。

Q2:転勤で途中で住めなくなったらどうなる?

転勤などでやむを得ず住めなくなった場合でも、一定の条件を満たせば控除を受け続けられます。

転勤が解除されて再び住み始めた年以降は、再度控除が受けられます。ただし、控除期間は入居した年から計算されるため、トータルの控除期間は短くなります。

賃貸に出した場合は、その期間は控除を受けられません。自己居住が原則です。

Q3:リフォームでも住宅ローン控除は受けられる?

一定規模以上のリフォーム(増改築)でも住宅ローン控除は受けられます。

条件は、工事費用が100万円超、増改築等工事証明書を取得すること、自己居住用であることなどです。借入限度額は、長期優良住宅・省エネ基準適合住宅なら3000万円、その他は2000万円です。

省エネリフォームや耐震リフォームを行う場合、別途「リフォーム減税」という制度もあり、住宅ローン控除との選択適用ができます。

Q4:確定申告は毎年必要?

1年目は確定申告が必須です。住宅ローン控除を受けるための必要書類を揃えて、税務署に申告します。

2年目以降、給与所得者(会社員)であれば、年末調整で控除が受けられるため、確定申告は不要です。ただし、自営業者は毎年確定申告が必要です。

Q5:中古住宅を買ってリフォームする場合は?

中古住宅の購入とリフォームを同時に行う場合、それぞれに住宅ローン控除を適用できます。

中古住宅の購入で最大3000万円、リフォームで最大3000万円、合計で最大6000万円が控除対象になる可能性があります。ただし、それぞれの条件を満たす必要があり、手続きも複雑になるため、税理士に相談することをお勧めします。

ハウスメーカー・工務店の対応状況

各ハウスメーカー・工務店の長期優良住宅への対応状況を見てみましょう。

大手ハウスメーカーの対応

大手ハウスメーカーのほとんどは、標準仕様で長期優良住宅に対応しています。

積水ハウス、大和ハウス、セキスイハイム、パナソニックホームズ、へーベルハウス、ミサワホーム、住友林業などの主要メーカーは、木造・鉄骨造問わず、標準で長期優良住宅の基準を満たしています。

追加費用もほとんどかからないか、認定申請費用の20万円〜40万円程度で済むことが多いです。営業担当者に「長期優良住宅で建てたい」と伝えれば、スムーズに対応してくれます。

地域工務店の対応

地域の工務店は、対応状況にばらつきがあります。

長期優良住宅の実績が豊富な工務店なら、追加費用50万円〜150万円程度で対応可能です。設計士と連携して、適切な仕様提案をしてくれます。

一方、長期優良住宅の経験が少ない工務店の場合、対応できないか、過剰な仕様で費用が高くなることがあります。工務店を選ぶ際は、長期優良住宅の施工実績を必ず確認しましょう。

ローコスト系ハウスメーカーの対応

ローコスト系のハウスメーカー(タマホーム、アイダ設計など)も、長期優良住宅に対応しています。

ただし、標準仕様では長期優良住宅の基準を満たさないことが多く、オプション追加で100万円〜200万円程度の追加費用がかかることがあります。

住宅ローン控除のメリットと追加費用を比較して、長期優良住宅を目指すかどうか判断しましょう。借入額が少ない場合は、無理に目指す必要はありません。

2025年以降の制度変更の可能性

住宅ローン控除は税制改正で頻繁に変更されます。今後の動向も押さえておきましょう。

省エネ基準の義務化

2025年4月以降、新築住宅には省エネ基準適合が義務化されます。これにより、省エネ基準を満たさない住宅は建築確認が下りなくなります。

住宅ローン控除の面でも、2024年までに入居する場合と2025年以降では、省エネ基準未満の住宅は控除対象外になるため、実質的に影響はなくなります。

借入限度額の見直しの可能性

住宅ローン控除の借入限度額は、数年ごとに見直されています。

現在の制度は2025年12月末までの入居が対象です。2026年以降の制度はまだ明確になっていませんが、借入限度額が縮小される可能性があります。

できるだけ早く建てた方が、現在の有利な制度を活用できる可能性が高いです。ただし、焦って妥協した家を建てるのは本末転倒なので、バランスが重要です。

カーボンニュートラルへの対応

政府は2050年カーボンニュートラル実現に向けて、住宅の省エネ性能をさらに高める方針です。

将来的には、ZEH水準が標準になり、長期優良住宅の基準もさらに厳しくなる可能性があります。今後建てる住宅は、できるだけ高い省エネ性能を目指すことが、将来の資産価値維持にもつながります。

実例で見る総合的なコスト比較

実際の建築費用と税制優遇を総合的に比較してみましょう。

ケース1:木造2階建て(建物価格2500万円、借入額4000万円)

省エネ基準適合住宅の場合:建築費用2500万円、住宅ローン控除13年間で約330万円、その他税制優遇約20万円、実質コスト約2150万円

長期優良住宅の場合:建築費用2600万円(追加費用100万円)、住宅ローン控除13年間で約330万円、その他税制優遇約50万円、実質コスト約2220万円

この借入額では、控除限度額の差が出ないため、長期優良住宅の方が約70万円高くなります。ただし、性能向上のメリットを考えれば、70万円の差は許容範囲内とも言えます。

ケース2:鉄骨造3階建て(建物価格3500万円、借入額5000万円)

省エネ基準適合住宅の場合:建築費用3500万円、住宅ローン控除13年間で約360万円(限度額4000万円)、その他税制優遇約20万円、実質コスト約3120万円

長期優良住宅の場合:建築費用3580万円(追加費用80万円)、住宅ローン控除13年間で約450万円(限度額5000万円)、その他税制優遇約50万円、実質コスト約3080万円

この場合、長期優良住宅の方が実質コストで約40万円安くなります。性能向上も含めて考えれば、明らかに長期優良住宅が有利です。

ケース3:RC造3階建て(建物価格4500万円、借入額6000万円)

省エネ基準適合住宅の場合:建築費用4500万円、住宅ローン控除13年間で約360万円(限度額4000万円)、その他税制優遇約20万円、実質コスト約4120万円

長期優良住宅の場合:建築費用4570万円(追加費用70万円)、住宅ローン控除13年間で約450万円(限度額5000万円)、その他税制優遇約50万円、実質コスト約4070万円

高額な住宅ほど、長期優良住宅のメリットが大きくなります。この例では、実質コストで約50万円の差が出ます。

まとめ:賢く税制優遇を活用しよう

ここまで、住宅ローン控除と構造・性能の関係について詳しく解説してきました。最後に重要なポイントをまとめます。

性能による控除額の差は大きい

住宅ローン控除の借入限度額は、住宅の性能によって大きく異なります。長期優良住宅なら最大5000万円、省エネ基準適合住宅なら4000万円、省エネ基準未満はゼロです。

借入額が4000万円を超える場合、長期優良住宅と省エネ基準適合住宅では、最大91万円もの差が出ます。この差は非常に大きく、長期優良住宅の取得費用を十分にカバーできます。

構造別の取得しやすさを理解する

木造、鉄骨造、RC造、それぞれで長期優良住宅の取得しやすさや追加費用が異なります。

大手ハウスメーカーの鉄骨造商品は、標準仕様で長期優良住宅対応していることが多く、追加費用も少なくて済みます。木造も、適切な工務店を選べば100万円前後の追加費用で対応可能です。

構造を選ぶ際は、建築コストだけでなく、長期優良住宅の取得費用も含めた総合的なコストで判断しましょう。

借入額とのバランスが重要

借入額が3000万円以下なら、省エネ基準適合住宅でも控除額に差は出ません。無理に長期優良住宅を目指す必要はないでしょう。

借入額が4000万円を超える場合は、長期優良住宅を目指す価値があります。特に5000万円以上借りる場合、メリットが最大化されます。

税制優遇以外のメリットも考慮する

長期優良住宅のメリットは、税制優遇だけではありません。耐震性、耐久性、省エネ性能の向上により、長期的な住み心地や維持費の削減、資産価値の維持にもつながります。

目先の費用対効果だけでなく、30年、50年と住み続けることを考えれば、高性能な住宅への投資は決して無駄ではありません。

早めの計画と専門家への相談

住宅ローン控除の制度は複雑で、頻繁に改正されます。最新の情報を把握し、自分のケースでどれだけのメリットがあるかを正確に計算することが重要です。

ハウスメーカーや工務店の営業担当者、ファイナンシャルプランナー、税理士など、専門家に相談しながら、最適な選択をしましょう。

特に、長期優良住宅の認定を取得する場合は、設計段階から計画的に進める必要があります。着工後に「やっぱり長期優良住宅にしたい」と思っても、手遅れになることがあります。

最後に:賢い選択で理想の住まいを

住宅ローン控除は、数百万円規模の大きな税制優遇です。正しく理解し、賢く活用することで、建築予算を大きく節約できます。

ただし、税制優遇だけを目的に住宅の性能を選ぶのは本末転倒です。まずは、自分たちが本当に欲しい家、快適に暮らせる家を考え、その上で税制優遇を最大限に活用するという順序が大切です。

この記事が、あなたの家づくりの判断材料になれば幸いです。構造選び、性能選び、そして税制優遇の活用、すべてをバランスよく考えて、後悔のない理想の住まいを実現してください。賢い選択で、快適で経済的な家づくりを応援しています。

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