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家の売却価格は構造で変わる?木造・鉄骨・RC造の資産価値と査定額の違いを徹底解説

「この家、将来売るときにいくらになるんだろう?」家を建てるとき、多くの人は初期費用や住宅ローンの返済に目が行きがちですが、実は「将来の資産価値」も重要な検討ポイントです。

同じ立地、同じ広さの家でも、木造で建てるか、鉄骨造で建てるか、RC造(鉄筋コンクリート造)で建てるかによって、10年後、20年後の売却価格は大きく変わってきます。場合によっては、数百万円、時には1000万円以上もの差が生まれることもあるのです。

「木造は安く買えるけど、売るときも安い?」「RC造は高いけど、資産価値は保てる?」「どんな家が高く売れるの?」こんな疑問を持つ方も多いでしょう。

転勤の可能性がある、子どもの成長に合わせて住み替えたい、老後は住みやすい場所に引っ越したい——ライフステージの変化に応じて家を売却する可能性は、誰にでもあります。

この記事では、構造別の資産価値の推移、不動産査定の仕組み、高く売れる家の条件、リセールバリューを意識した家づくりのポイントまで、将来の売却を見据えた家づくりに必要な情報を徹底的に解説します。

「一生住むつもり」と思って建てた家でも、人生何が起こるかわかりません。資産価値という視点から構造を比較し、後悔しない家づくりを目指しましょう。

不動産査定の基本:建物の価値はどう決まる?

家を売却する際の価格は、「土地の価格+建物の価格」で決まります。このうち、構造によって大きく変わるのが「建物の価格」です。

不動産の査定では、建物の価値を「再調達原価×残存年数÷耐用年数」という考え方で算出します。再調達原価とは「同じ建物を今建てたらいくらかかるか」という金額で、これに「まだどれだけ使えるか」という残存率を掛けて評価します。

ここで重要なのが「法定耐用年数」です。税法上の法定耐用年数は、木造22年、軽量鉄骨造19年または27年、重量鉄骨造34年、RC造47年と定められています。

一般的な不動産査定では、この法定耐用年数を過ぎると建物の価値はゼロに近くなります。つまり、木造住宅は築22年で建物部分の査定額がほぼゼロになるのに対し、RC造は築47年までは一定の価値が認められるということです。

ただし、実際の市場では「法定耐用年数=建物の寿命」ではありません。適切にメンテナンスされた木造住宅は築30年でも十分住めますし、逆にメンテナンス不足のRC造は築20年でも問題が出ることがあります。

また、立地条件、間取り、設備のグレード、メンテナンス状況なども査定額に大きく影響します。構造だけで全てが決まるわけではありませんが、構造が資産価値に与える影響は非常に大きいのです。

木造住宅の資産価値と売却時の特徴

木造住宅は、日本で最も一般的な構造ですが、資産価値という面では厳しい現実があります。

価値の下落スピードが速い
木造住宅の最大の特徴は、築年数による価値の下落が非常に速いことです。一般的に、新築時を100%とすると、築10年で約50~60%、築15年で約30~40%、築20年で約20~30%程度まで価値が下がります。
築22年(法定耐用年数)を過ぎると、建物部分の査定額はほぼゼロになり、実質的に「土地値」での売却になることが多くなります。つまり、3000万円で建てた木造住宅も、22年後には建物の価値がほぼ認められず、土地の価格だけで売却することになるのです。

中古市場での評価が低い
日本の不動産市場では、築20年を超えた木造住宅は「古家付き土地」として扱われることが多く、買主は建物を解体して新築することを前提に購入するケースも少なくありません。
特に、築30年以上の木造住宅は、たとえ内装がきれいでも構造面での不安から敬遠されがちです。1981年以前の旧耐震基準で建てられた物件はさらに評価が下がります。

メンテナンス状況が重視される
木造住宅は、定期的なメンテナンスが資産価値の維持に直結します。外壁塗装、屋根の補修、シロアリ対策などを適切に行っている住宅は、築年数の割に高く評価されることがあります。
逆に、メンテナンス不足で雨漏りやシロアリ被害がある場合、査定額は大幅に下がり、場合によっては「負の資産」となることもあります。

売却のしやすさ
一方で、木造住宅は価格が手頃なため、購入層は幅広く、売却自体は比較的しやすい傾向にあります。特に、土地の価値が高いエリアでは、建物が古くても土地目的で購入されることがあります。

鉄骨造住宅の資産価値と売却時の特徴

鉄骨造住宅は、軽量鉄骨造と重量鉄骨造で資産価値が大きく異なります。

軽量鉄骨造の場合
軽量鉄骨造(骨格材3mm以下)の法定耐用年数は19年と、実は木造の22年より短く設定されています。これは税法上の区分であり、実際の耐久性とは必ずしも一致しませんが、不動産査定ではこの年数が影響します。
ただし、大手ハウスメーカーが建てた軽量鉄骨造住宅は、ブランド力や保証制度、メンテナンス体制が整っていることから、築年数の割に高く評価されることがあります。
例えば、積水ハウスやダイワハウス、セキスイハイムなどの大手メーカーの物件は、「中古でも安心」というブランドイメージがあり、築15年程度でも一定の需要があります。

重量鉄骨造の場合
重量鉄骨造(骨格材3mm超)の法定耐用年数は34年と長く、木造より資産価値を保ちやすい構造です。
特に、高級注文住宅として建てられた重量鉄骨造は、デザイン性や設備のグレードが高いことが多く、中古市場でも一定の評価を得られます。
ただし、重量鉄骨造は新築時の建築費が高いため、売却時に「新築時の価格からの下落率」で見ると、必ずしも有利とは言えない面もあります。

鉄骨造全体の特徴
鉄骨造住宅は、木造に比べて購入層が限られる傾向にあります。価格帯が高めになることが多く、また、維持費(固定資産税、メンテナンス費用)も考慮する必要があるため、買主も慎重になります。
一方で、耐震性や耐久性への信頼感、大手メーカーの保証があることは、売却時のプラス要素になります。

RC造住宅の資産価値と売却時の特徴

RC造(鉄筋コンクリート造)住宅は、3つの構造の中で最も資産価値を保ちやすい構造です。

価値の下落が緩やか
RC造の法定耐用年数は47年と非常に長く、築20年でもまだ新築時の60~70%程度の価値を維持することが一般的です。築30年でも50%程度の価値が残り、適切にメンテナンスされていれば築40年でも一定の評価が得られます。
例えば、5000万円で建てたRC造住宅は、築20年後でも建物部分に3000万円程度の価値が認められることがあります。これは木造(築20年でほぼゼロ)とは大きな差です。

中古市場での評価が高い
RC造住宅は、耐久性、耐震性、遮音性、断熱性など、性能面での優位性が広く認識されており、中古市場でも高く評価されます。
特に、都市部の高級住宅街に建つRC造住宅は、「資産」としての価値が認められ、富裕層を中心に根強い需要があります。デザイン性の高い建築家設計の住宅などは、築年数を経てもプレミアム価格で取引されることもあります。

メンテナンスコストと資産価値
RC造は、外壁の塗装や防水工事など、大規模修繕には費用がかかりますが、適切にメンテナンスされた物件は資産価値を長く保てます。
逆に、メンテナンス不足で雨漏りやクラック(ひび割れ)が進行している場合、修繕費用が高額になることから、査定額は大幅に下がります。

売却のしにくさ
RC造住宅の弱点は、価格が高額になるため、購入できる層が限られることです。また、固定資産税が高い、リフォームがしにくいといったデメリットもあり、買主探しに時間がかかることがあります。
立地が良く、物件の状態が良ければ問題ありませんが、立地が悪い、個性が強すぎるデザインなどの場合、売却に苦労することもあります。

構造別の資産価値推移シミュレーション

ここでは、同じ条件で建てた住宅の資産価値がどう推移するか、シミュレーションしてみましょう。

【前提条件】

  • 土地:2000万円(価値は変動しないと仮定)
  • 建物:木造2500万円、軽量鉄骨造3000万円、RC造4500万円
  • 立地:一般的な住宅地
  • メンテナンス:適切に実施

新築時

  • 木造:4500万円(土地2000万円+建物2500万円)
  • 軽量鉄骨造:5000万円(土地2000万円+建物3000万円)
  • RC造:6500万円(土地2000万円+建物4500万円)

築10年

  • 木造:3500万円程度(土地2000万円+建物1500万円)
  • 軽量鉄骨造:4000万円程度(土地2000万円+建物2000万円)
  • RC造:5500万円程度(土地2000万円+建物3500万円)

築20年

  • 木造:2500万円程度(土地2000万円+建物500万円)
  • 軽量鉄骨造:3000万円程度(土地2000万円+建物1000万円)
  • RC造:5000万円程度(土地2000万円+建物3000万円)

築30年

  • 木造:2000万円程度(土地2000万円+建物0円)
  • 軽量鉄骨造:2300万円程度(土地2000万円+建物300万円)
  • RC造:4500万円程度(土地2000万円+建物2500万円)

このシミュレーションからわかるのは、初期投資額と資産価値の保持率のバランスです。RC造は初期費用が高いものの、長期的には資産価値を保ちやすく、木造は初期費用が安いものの、価値の下落が速いという特徴があります。

高く売れる家の条件:構造以外の重要ポイント

構造は資産価値に大きく影響しますが、それ以外にも高く売れる家には共通の条件があります。

立地が最重要
不動産で最も重要なのは立地です。駅から近い、商業施設が充実している、学区が良い、治安が良いなど、立地条件が良ければ、構造に関わらず高く売れます。
逆に、どんなに立派なRC造住宅でも、駅から遠い、周辺環境が悪いなどの場合、売却は困難になります。

間取りの汎用性
特殊な間取りや個性的すぎるデザインは、売却時にマイナスになることがあります。3LDK~4LDKの標準的な間取り、使いやすい動線、十分な収納などは、幅広い層に受け入れられます。

設備のグレードと状態
キッチン、バスルーム、トイレなどの水回り設備が新しく、グレードが高いほど評価されます。築年数が経っていても、設備を新しくリフォームしていれば、査定額は上がります。

メンテナンス履歴
定期的なメンテナンスを実施し、その記録が残っていることは、大きなプラス要素です。外壁塗装、屋根の補修、設備の点検などの履歴があると、買主に安心感を与えます。

長期優良住宅などの認定
長期優良住宅、耐震等級3、省エネ基準適合など、公的な認定を受けている住宅は、性能が保証されているため、高く評価されます。

保証・アフターサービス
大手ハウスメーカーの保証が残っている、定期点検を受けているなど、アフターサービスが充実していることも、売却時の強みになります。

将来の売却を見据えた構造選び

将来の売却を視野に入れる場合、どの構造を選ぶべきでしょうか。ライフプランに応じた選択が重要です。

短期間(10年以内)で売却する可能性がある場合
転勤が多い、子どもの成長に合わせて住み替える予定がある場合は、木造または軽量鉄骨造を選び、初期費用を抑えるのが合理的です。10年程度では構造による資産価値の差はそれほど大きくないため、初期投資を抑える方が得策です。

中期的(15~25年)に売却する可能性がある場合
この期間になると、構造による資産価値の差が顕著になります。重量鉄骨造やRC造を選ぶことで、売却時の価格を高く保てます。ただし、初期費用が高額になるため、資金計画をしっかり立てる必要があります。

長期保有(30年以上)または相続を考える場合
長く保有する、または子どもに相続する予定がある場合は、RC造が有利です。30年後でも一定の資産価値を保ち、適切にメンテナンスすれば50年以上使えます。

立地を最優先する
どの期間で売却する場合でも、立地が最も重要です。立地の良い場所に木造で建てる方が、立地の悪い場所にRC造で建てるより、資産価値は高くなります。

リセールバリューを高める家づくりのポイント

家を建てる段階で、将来の売却を見据えた工夫をすることで、リセールバリューを高められます。

標準的な間取りにする
個性的すぎる間取りは避け、一般的な家族構成に対応できる3LDK~4LDKの間取りにしましょう。リビングは広く、各部屋は6畳以上確保すると、幅広い層に受け入れられます。

水回りは1階にまとめる
キッチン、浴室、洗面所、トイレなどの水回りを1階にまとめると、生活しやすく、リフォームもしやすくなります。2階にもトイレがあると便利ですが、メンテナンス費用は増えます。

駐車スペースを確保する
地方では特に、駐車スペースの有無が売却に大きく影響します。2台分の駐車スペースがあると理想的です。

メンテナンスしやすい仕様にする
外壁はサイディングや塗装が必要ないタイル、屋根は耐久性の高いガルバリウム鋼板など、メンテナンス頻度が少ない仕様を選ぶと、長期的なコストを抑えられ、売却時の評価も上がります。

長期優良住宅の認定を取得する
長期優良住宅の認定を取得することで、税制優遇だけでなく、売却時の評価も高まります。認定住宅は性能が保証されているため、買主に安心感を与えます。

メンテナンス記録を残す
定期点検、修繕、リフォームなどの記録を残しておくことで、売却時に「適切に管理されてきた家」として評価されます。

大手ハウスメーカーを選ぶ
大手ハウスメーカーは、ブランド力、保証制度、メンテナンス体制が整っており、中古市場でも高く評価されます。特に、積水ハウス、ダイワハウス、住友林業、ヘーベルハウスなどは、リセールバリューが高い傾向にあります。

相続・贈与時の構造による違い

家を売却するだけでなく、相続や贈与する場合も、構造によって評価が変わります。

相続税評価額
相続税の計算では、建物は固定資産税評価額を基準に評価されます。RC造は固定資産税評価額が高いため、相続税も高くなる傾向にあります。
一方、木造は評価額が低く、築年数が経てばさらに下がるため、相続税は低くなります。ただし、資産として残せる価値も低いということです。

小規模宅地等の特例
330㎡までの居住用宅地は、相続税評価額が80%減額される「小規模宅地等の特例」が適用できます。この特例は構造に関わらず適用されるため、相続対策として有効です。

資産としての価値
子どもに資産を残すという視点では、RC造が有利です。築30年、40年経っても一定の価値を保ち、賃貸に出すこともできます。木造は築30年を超えると資産価値がほぼなくなるため、「資産」としては残しにくいといえます。

維持費の負担
相続した家を空き家として維持する場合、固定資産税や管理費用がかかります。RC造は固定資産税が高く、長期間空き家にすると負担が大きくなります。

売却を有利にするメンテナンス戦略

家の資産価値を保つには、適切なメンテナンスが不可欠です。

木造のメンテナンス
木造住宅は、10~15年ごとに外壁塗装、屋根の補修が必要です。これを怠ると、雨漏りやシロアリ被害のリスクが高まり、資産価値が大幅に下がります。
定期的なシロアリ点検・予防処理も重要です。シロアリ被害が発覚すると、売却時の査定額は大きく下がります。

鉄骨造のメンテナンス
鉄骨造も、外壁や屋根のメンテナンスが必要です。特に、鉄骨部分の防錆処理が重要で、これを怠ると構造体が劣化します。

RC造のメンテナンス
RC造は、15~20年ごとに大規模修繕が必要です。外壁の塗装、防水工事、クラックの補修などに、1回あたり200万円~500万円程度かかります。
ただし、適切にメンテナンスすれば50年以上使えるため、長期的には費用対効果が高いといえます。

メンテナンス記録の重要性
どの構造でも、メンテナンスの記録を残すことが重要です。「いつ、どんな工事をしたか」が明確だと、売却時に買主に安心感を与え、査定額も上がります。

市場動向と構造別の需要

不動産市場の動向も、構造別の資産価値に影響します。

新築志向の強い日本市場
日本は欧米に比べて新築志向が強く、中古住宅市場は発展途上です。そのため、築年数が経つと資産価値が大きく下がる傾向にあります。
ただし、近年は中古住宅のリノベーション市場が拡大しており、「古い家を自分好みに改装する」という選択肢も広がっています。構造がしっかりしている鉄骨造やRC造は、リノベーション市場で評価されやすくなっています。

省エネ・耐震性能への関心の高まり
近年、省エネ性能や耐震性能への関心が高まっており、長期優良住宅、耐震等級3、ZEH住宅などの認定を受けた物件は、中古市場でも高く評価される傾向にあります。

地域による違い
都市部では、RC造の高級住宅の需要が根強い一方、地方では木造の一般的な住宅の方が売りやすい傾向にあります。地域の市場特性を理解することも重要です。

まとめ:資産価値を考えた賢い構造選び

家の資産価値は、構造によって大きく変わります。

木造は初期費用が安く、手軽に建てられますが、資産価値の下落が速く、築20年を過ぎると建物部分の価値はほぼなくなります。短期間で売却する予定がある、初期費用を抑えたい場合に適しています。

鉄骨造は、軽量鉄骨造と重量鉄骨造で大きく異なります。重量鉄骨造は資産価値を比較的保ちやすく、大手メーカーのブランド力も売却時のプラスになります。

RC造は、3つの構造の中で最も資産価値を保ちやすく、長期保有や相続を考える場合に有利です。ただし、初期費用が高額で、購入層が限られるため、売却に時間がかかることもあります。

重要なのは、「自分のライフプランに合った構造を選ぶ」ことです。

10年以内に売却する可能性があるなら木造、15~25年で売却するなら重量鉄骨造かRC造、30年以上保有するならRC造という選択が合理的です。

ただし、どんな構造を選んでも、立地が最も重要です。良い立地に木造で建てる方が、悪い立地にRC造で建てるより、資産価値は高くなります。

また、間取りの汎用性、メンテナンスの実施、長期優良住宅などの認定取得など、構造以外の要素も資産価値に大きく影響します。

「一生住むつもり」でも、人生は予測不可能です。転勤、家族構成の変化、健康上の理由など、予期せぬ事情で売却せざるを得ないこともあります。

初期費用だけでなく、将来の資産価値も含めて総合的に判断し、後悔しない家づくりを目指しましょう。

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