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家の固定資産税は構造で変わる?木造・鉄骨・RC造の評価額と税額の違いを徹底解説

家を建てるとき、多くの人が建築費用や住宅ローンの返済計画には注意を払いますが、意外と見落としがちなのが「固定資産税」です。実は、この固定資産税は建物の構造によって大きく変わることをご存知でしょうか。

同じ面積、同じ間取りの家でも、木造で建てるか、鉄骨造で建てるか、RC造(鉄筋コンクリート造)で建てるかによって、毎年支払う税額が数万円、場合によっては数十万円も違ってくるのです。

「建築費が安い木造を選んだのに、税金まで考えると実はそんなにお得じゃなかった」「RC造は高級だけど、固定資産税も高いって本当?」そんな疑問を持つ方も多いでしょう。

この記事では、建物の構造と固定資産税の関係について、評価の仕組みから実際の税額シミュレーション、減税制度の活用方法まで、家づくりを検討している方が知っておくべき情報を徹底的に解説します。

構造選びは、初期費用だけでなく、数十年にわたるランニングコストにも影響する重要な判断。後悔しない家づくりのために、税金面からも構造を比較してみましょう。

固定資産税の基本的な仕組み

固定資産税は、土地や建物などの固定資産を所有している人が、毎年1月1日時点の所有者として市町村(東京23区は都)に納める地方税です。

計算式は非常にシンプルで、「固定資産税評価額×税率(標準税率1.4%)」となります。ただし、この「固定資産税評価額」がどう決まるかが重要なポイントです。

建物の固定資産税評価額は、新築時には建築費の50~70%程度とされることが多いのですが、実際には「再建築価格方式」という方法で算定されます。これは「もし今、同じ建物を建てたらいくらかかるか」という考え方です。

そして、この再建築価格を算出する際に、建物の構造が大きく影響してきます。総務大臣が定める「固定資産評価基準」では、構造ごとに評価点数や経年減点補正率が細かく設定されているのです。

つまり、同じ面積の家でも、木造、鉄骨造、RC造では評価額が異なり、結果として固定資産税額も変わってくるということです。

構造別の評価基準と耐用年数の違い

固定資産税の評価において、構造による最も大きな違いは「法定耐用年数」と「経年減点補正率」です。

木造住宅の法定耐用年数は22年、軽量鉄骨造は19年または27年(骨格材の厚さによる)、重量鉄骨造は34年、RC造は47年と設定されています。

この耐用年数が長いほど、「長く使える建物=価値が高い」と評価され、新築時の評価額も高くなる傾向があります。さらに、経年による価値の減少も緩やかになります。

具体的には、木造住宅は築20年でかなり評価額が下がりますが、RC造は築20年でもまだ評価額が高い状態を保ちます。これは「長持ちする構造ほど、税金も長く高い」ということを意味します。

また、評価基準には構造ごとの「再建築費評点基準表」があり、使用している部材や仕上げの種類によって点数が加算されていきます。一般的に、RC造は使用する材料や施工の複雑さから、この評点が高くなりやすいのです。

建築費が高い構造ほど評価額も高くなるのは当然に思えますが、重要なのは「評価額の下がり方」です。木造は比較的早く評価が下がりますが、RC造は何十年経っても一定の評価額を保ち続けます。

木造住宅の固定資産税の特徴

木造住宅は、日本で最も一般的な住宅構造であり、固定資産税の面でも特徴的な性質を持っています。

まず、新築時の評価額は比較的抑えられる傾向にあります。建築費自体が鉄骨造やRC造に比べて安いことに加え、評価基準上も点数が低めに設定されているためです。

例えば、延床面積120㎡の一般的な木造2階建て住宅の場合、固定資産税評価額は1,000万円~1,500万円程度になることが多く、税額は年間14万円~21万円程度(新築特例適用前)となります。

木造の大きなメリットは、経年による評価額の減少が比較的速いことです。築10年で新築時の約60%、築20年で約30%程度まで評価額が下がるため、長く住むほど税負担が軽くなっていきます。

ただし、リフォームや増改築を行うと、その部分については新たに評価され直すため、税額が上がる可能性があります。特に、耐震補強や大規模なリノベーションを行った場合は注意が必要です。

また、木造住宅は定期的なメンテナンスが欠かせませんが、メンテナンス費用と税負担のバランスを考えることも、長期的な資金計画では重要になります。

鉄骨造住宅の固定資産税の特徴

鉄骨造住宅は、軽量鉄骨造と重量鉄骨造に分かれ、それぞれで固定資産税の評価が異なります。

軽量鉄骨造(骨格材の厚さ3mm以下)は、主にハウスメーカーの住宅で採用されることが多く、法定耐用年数は19年です。評価額は木造よりやや高めですが、RC造ほどではありません。

一方、重量鉄骨造(骨格材の厚さ3mm超)は耐用年数が34年と長く、評価額も高めに設定されます。大手ハウスメーカーの高級住宅や、3階建て以上の住宅で採用されることが多い構造です。

延床面積120㎡の軽量鉄骨造住宅の場合、評価額は1,200万円~1,800万円程度、税額は年間17万円~25万円程度(新築特例適用前)が目安となります。

重量鉄骨造では評価額が1,500万円~2,200万円程度、税額は年間21万円~31万円程度になることもあります。

鉄骨造の特徴は、木造とRC造の中間的な位置づけにあることです。初期の評価額は木造より高いものの、RC造ほどではなく、経年減少も中程度のペースで進みます。

特に軽量鉄骨造は、耐用年数が19年と比較的短いため、築15年を過ぎると評価額がかなり下がってきます。この点は、将来の売却や建て替えを考える際にも影響する要素です。

RC造(鉄筋コンクリート造)住宅の固定資産税の特徴

RC造住宅は、固定資産税の面では最も評価額が高く、税負担も大きくなる構造です。

法定耐用年数が47年と非常に長いため、「資産価値が長期間維持される建物」として評価されます。これは良い面でもありますが、税金面では長期にわたって高い負担が続くことを意味します。

延床面積120㎡のRC造住宅の場合、評価額は2,000万円~3,000万円程度、税額は年間28万円~42万円程度(新築特例適用前)となることが一般的です。

RC造の最大の特徴は、経年による評価額の減少が非常に緩やかなことです。築20年経過しても、新築時の60~70%程度の評価額を維持します。築30年でもまだ50%以上の評価を保つこともあります。

つまり、RC造を選択すると、数十年にわたって比較的高い固定資産税を支払い続けることになります。この点は、ランニングコストとして必ず考慮すべきポイントです。

ただし、RC造は建物自体の耐久性が高く、メンテナンス頻度が木造に比べて少なくて済むため、修繕費用は抑えられる傾向にあります。また、資産価値の下落が緩やかなため、将来の売却や相続の際には有利になる可能性もあります。

都市部の高級住宅街や、デザイン性を重視した住宅、賃貸併用住宅などでRC造が選ばれることが多いのは、こうした長期的な資産価値を重視するケースが多いからです。

実際の税額シミュレーション比較

ここでは、同じ条件の住宅を木造、軽量鉄骨造、RC造で建てた場合の固定資産税を比較してみましょう。

【設定条件】

  • 延床面積:120㎡
  • 建物の仕様:一般的な仕様(中級グレード)
  • 土地:100㎡(評価額1,500万円)
  • 新築特例:3年間適用(120㎡までの部分は1/2に軽減)

【木造住宅の場合】

  • 建物評価額:1,200万円
  • 新築1~3年目:建物8.4万円+土地9.8万円=18.2万円/年
  • 4年目以降:建物16.8万円+土地9.8万円=26.6万円/年
  • 築20年時点:建物約5万円+土地9.8万円=14.8万円/年

【軽量鉄骨造の場合】

  • 建物評価額:1,500万円
  • 新築1~3年目:建物10.5万円+土地9.8万円=20.3万円/年
  • 4年目以降:建物21万円+土地9.8万円=30.8万円/年
  • 築20年時点:建物約8万円+土地9.8万円=17.8万円/年

【RC造の場合】

  • 建物評価額:2,400万円
  • 新築1~3年目:建物16.8万円+土地9.8万円=26.6万円/年
  • 4年目以降:建物33.6万円+土地9.8万円=43.4万円/年
  • 築20年時点:建物約23万円+土地9.8万円=32.8万円/年

30年間の累計税額で比較すると、木造が約570万円、軽量鉄骨造が約710万円、RC造が約1,050万円となり、RC造は木造の約1.8倍もの税負担になります。

この差は決して小さくありません。建築費の差だけでなく、数十年にわたる税負担の差も含めて、総合的なコスト比較をすることが重要です。

新築特例による減税措置

新築住宅には、固定資産税の軽減措置が設けられています。これを「新築特例」と呼び、一定期間、建物部分の固定資産税が減額されます。

【新築特例の内容】

  • 一般住宅:新築後3年間、120㎡までの居住部分について税額が1/2に軽減
  • 3階建て以上の耐火・準耐火建築物:新築後5年間、同様に1/2軽減

この特例は非常に大きな減税効果があります。例えば、建物評価額が2,000万円のRC造住宅の場合、本来なら年間28万円の税額が、3年間は14万円で済みます。

ただし、注意したいのは「120㎡まで」という制限です。広い家を建てた場合、120㎡を超える部分については軽減がありません。

また、この特例が終了する4年目(または6年目)から税額が一気に倍増するため、資金計画を立てる際には必ずこの「特例終了後の税額」で計算しておくべきです。

「新築時の税額が思ったより安かったから大丈夫」と安心していると、特例終了後に予想外の負担増に驚くケースもあります。

特に、RC造や重量鉄骨造など評価額が高い構造を選ぶ場合は、特例終了後の税額をしっかり確認し、長期的な家計の見通しを立てることが大切です。

長期優良住宅による減税メリット

長期優良住宅の認定を取得すると、新築特例の期間が延長される優遇措置があります。

【長期優良住宅の場合の新築特例】

  • 一般住宅(2階建て以下):5年間、税額1/2軽減
  • 3階建て以上の耐火・準耐火建築物:7年間、税額1/2軽減

通常の新築特例が3年間(または5年間)なのに対し、長期優良住宅では5年間(または7年間)に延長されます。この2年間の差は、税額にして数十万円の違いになります。

例えば、建物評価額2,000万円のRC造住宅で長期優良住宅認定を取得した場合、2年間の延長により約28万円の減税効果が得られます。

長期優良住宅の認定取得には、設計・申請費用として20万円~30万円程度かかりますが、固定資産税の減税だけでなく、住宅ローン控除の拡充、登録免許税・不動産取得税の軽減など、総合的な税制優遇が受けられます。

特に、RC造や重量鉄骨造など、もともと評価額が高い構造で家を建てる場合は、長期優良住宅認定を検討する価値が高いといえます。

構造によって認定基準の難易度は異なりますが、最近では多くのハウスメーカーや工務店が長期優良住宅仕様を標準化しているため、比較的取得しやすくなっています。

評価額を左右するその他の要因

建物の固定資産税評価額は、構造だけでなく、さまざまな要素によって変動します。

【仕上げ材・設備グレード】
床材、壁材、天井材、設備機器のグレードによって評価点が加算されます。無垢材のフローリング、輸入タイル、高級システムキッチンなどを採用すると、評価額が上がります。

【屋根材・外壁材】
瓦屋根や金属屋根、タイル外壁、石材外壁など、使用する材料によって評価が変わります。一般的に、耐久性が高く高価な材料ほど評価額が高くなります。

【建築面積・階数】
当然ながら、床面積が広いほど、階数が多いほど評価額は上がります。また、地下室や屋根裏部屋なども評価の対象になります。

【附属建物・設備】
カーポート、物置、門扉、塀なども評価対象です。特に、ビルトインガレージや立派な門構えは評価額を押し上げます。

【太陽光発電システム】
近年、ZEH住宅などで導入が増えている太陽光パネルも、建物と一体化している場合は評価の対象となります。一般的に、10kW未満のシステムで評価額が50万円~100万円程度上がることがあります。

【築年数による減点】
経年による減点補正は毎年行われますが、構造によって減点率が異なります。木造は減少が速く、RC造は緩やかです。

これらの要素を理解しておくと、「どこにコストをかけると評価が上がるか」「どこを抑えれば税負担を抑えられるか」という判断ができるようになります。

構造選びと総合的なコスト比較

固定資産税だけを見れば木造が有利に見えますが、家づくりは総合的なコスト比較が重要です。

【初期費用(建築費)】
木造<軽量鉄骨造<重量鉄骨造<RC造

【固定資産税(年間)】
木造<軽量鉄骨造<重量鉄骨造<RC造

【メンテナンス費用(30年間)】
RC造<重量鉄骨造<軽量鉄骨造<木造

【資産価値の維持】
RC造>重量鉄骨造>軽量鉄骨造>木造

木造は初期費用と固定資産税が安い反面、メンテナンス費用がかかり、資産価値の下落も速い傾向にあります。一方、RC造は初期費用と税金は高いものの、メンテナンス頻度が低く、資産価値を長く保てます。

【30年間の総コスト例(延床120㎡)】

  • 木造:建築費2,400万円+税金570万円+メンテ500万円=3,470万円
  • 軽量鉄骨造:建築費2,800万円+税金710万円+メンテ400万円=3,910万円
  • RC造:建築費4,000万円+税金1,050万円+メンテ300万円=5,350万円

この比較からわかるように、木造が最も総コストが低く見えますが、資産価値を考慮すると評価は変わってきます。

30年後の資産価値が、木造で建築費の10%(240万円)、RC造で50%(2,000万円)残ると仮定すると、実質的な負担額は木造3,230万円、RC造3,350万円となり、差は縮まります。

さらに、住み心地、遮音性、耐久性、デザイン性など、数字に表れない価値も考慮すべきです。

自分のライフプラン、資金計画、価値観に合わせて、最適な構造を選ぶことが大切です。

固定資産税を抑えるための工夫

構造を変えずに、固定資産税を抑える工夫もあります。

【仕上げグレードの調整】
全体を高級仕様にするのではなく、見える部分にはこだわり、見えない部分は標準仕様にするなど、メリハリをつけることで評価額を抑えられます。

【附属建物の選択】
カーポートよりも青空駐車、立派な門扉よりもシンプルな門柱など、附属設備を必要最小限にすることも一つの方法です。

【太陽光パネルの設置方法】
建物一体型ではなく、架台設置型にすることで、建物の評価に含まれない場合があります(自治体により判断が異なります)。

【登記床面積の確認】
ロフトや小屋裏収納は、条件を満たせば床面積に算入されないため、評価対象外となります。設計段階で建築士に確認しましょう。

【適正な評価を受ける】
固定資産税の評価は、市町村の担当者が現地調査をして行いますが、稀に過大評価されているケースもあります。評価額に疑問がある場合は、縦覧制度を利用して近隣の類似物件と比較し、必要に応じて不服申し立てができます。

ただし、税金を抑えることばかりに注目して、本当に必要な性能や設備を削ってしまうのは本末転倒です。長く快適に暮らせる家づくりを第一に考え、その上で合理的な節税を検討しましょう。

まとめ:構造選びは税金も含めて総合判断を

固定資産税は、構造によって大きく異なることがお分かりいただけたと思います。

木造は初期費用が安く税負担も軽いですが、メンテナンス費用がかかり、資産価値の下落が速い傾向にあります。RC造は初期費用も税金も高いですが、耐久性が高く、資産価値を長く維持できます。鉄骨造はその中間的な位置づけです。

重要なのは、「どの構造が絶対的に優れている」ということではなく、「自分のライフプランや価値観に合った構造を選ぶ」ことです。

若い世代で将来の住み替えも視野に入れているなら木造、一生住み続ける終の棲家として考えるならRC造、バランスを重視するなら鉄骨造といった選択もあるでしょう。

また、新築特例や長期優良住宅による減税制度を活用することで、税負担を軽減することも可能です。

家づくりは、建築費だけでなく、固定資産税、メンテナンス費用、光熱費、将来の資産価値など、さまざまな要素を総合的に考える必要があります。

構造を選ぶ際は、ハウスメーカーや工務店に「この構造だと固定資産税はどのくらいになりますか?」と質問し、長期的な資金計画に組み込むことをおすすめします。

目先のコストだけでなく、数十年先まで見据えた賢い家づくりを目指しましょう。

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